神! エロと暴力のストイックな世界観

ヨネダコウさんネタで、3連続投稿です。ハマったときは、冷めないうちに書いてしまった方が良いですよね。後でブログを読み返した時のためにも。

『囀る鳥は羽ばたかない』、まだ1巻しか出ていないので、話はこれからですが、すでに神認定です。読み応えありまくり。私のツボをつく雰囲気と絵柄に加えて、大好物の裏社会もの。キャラたちのほどよく複雑な生い立ち。最初から最後まで緩まない男臭さ。ハマるなというほうが無理っ。

メインのキャラは、ヤクザの若頭でありながら、Mでバリネコの矢代と、刑務所上がりでEDの部下・百目鬼(どうめき)。「面構えと雰囲気だけでヤクザになっちゃいましたって感じ」と矢代に言わしめる百目鬼は、真面目で無表情。矢代は彼を気に入って連れ歩く。やがて百目鬼の過去を知って、ちょっとした計らいをし、彼と家族の心を救う。
矢代は百目鬼を足抜けさせようとするが、百目鬼は傍に置いてほしいと頼む。ラブはこれからってところでこの巻は終わってます。でも、矢代が憎まれ役になってくっつけた友人カップルの話や、矢代の高校時代の話など、内容としては充実しています。

そもそも、ヤクザのおっかない人がMって。幼児体験からそうなっちゃったんですが、よくまあ若頭として君臨してますよね。部下には手を出さないからでしょうが。じゃあ誰と、ってところですが、会の幹部たちや、情報を提供してくれる刑事たちなのですね。矢代が好きになった人は生涯で1人だけ。あとは全部体だけの関係。百目鬼はEDだから合体はないのですが、矢代と刑事とのシーンとか、Hな回想とかはたくさん出てきます。その上、矢代は他の人とヤッてるところを百目鬼に見ているように命令したり、勃たない百目鬼のをしゃくったり。直接的な描き方じゃないのに、かなりエロいです。エロいけど、甘さはほとんどなく。

百目鬼の方は人生を諦めているのか、何をされても、何をさせられても表情を変えない。でも、実は熱い男らしいです。一方、矢代はきっと、ヤクザとして血も涙もないふるまいをたくさんしてきたと思うんですが、何気に情のあることをしてたりするんですよね。なんだか飄々としていて、掴みどころのない人です。

先に書いた友人カップルとは、矢代の高校時代の同級生・影山と、チンピラの久我ですが、実は、矢代が生涯で唯一惚れた相手が影山。でも影山は長年の矢代の想いには全く気付いていない。でも矢代は影山のことを思って今の関係を壊そうとは考えない。いくら矢代がポーカーフェイスでも、影山は鈍すぎだろう! ほんと切ないですね。
この影山×久我の話も萌えます。受けの久我が年下なのにカッコよくて、生意気で、腕っぷしが強くて、男らしくて、魅力的なのです。

BLではヤクザとかマフィアとかを扱った話が多いですが、いつも女性が出ないのに違和感を覚えるんです。「極妻」ファンなもので。岩下志摩を排除するなー! 男の世界だけれど、女をはべらすこともステイタスではないのか。姐さんが支えてこその極道ではないのか。世継ぎはいらんのかっ。などと考えてしまうわけですが(BLはファンタジーなので別にいいんですけど)、この作品ではあんまり変には思いませんでした。まあ、矢代はゲイにしても、ほかのヤクザ達はきっとバイかノンケで、出てこないけど女の愛人もいるんだろうし、何より矢代の変態っぷりを目の当たりにすると、どうでも良くなりますね。それに、普通のBLと違って、「恋愛」って感じじゃないですからね。もっと次元の違う、男同士のぶつかり合い、みたいな。ちょっと大げさかな。

次巻、ラブだけでなく、ヤクザの内部での動きもありそうで楽しみです。矢代は百目鬼には本音を見せるんでしょうか。早く出ないかな。


囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
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